更年期外来

更年期外来私どもがどうして更年期障害の診療をしているのか不思議に思われるかもしれませんが、頭痛やめまい、肩こりなどの症状で来院される方も多く、検査を行ってもとくに異常がみられず、詳しくお話を伺ってみてみると更年期障害が原因だったと分かるケースも少なくありません。そこで、漢方治療やプラセンタ療法を行ったところ、改善効果を実感され、多くの方に喜んでいただくことができました。また、脳神経外科領域では、脳下垂体に腫瘍ができて、異常にホルモンが分泌される疾患があり、脳神経外科専門医であれば誰でも診断・治療の経験があります。とくに、プロラクチノーマという乳汁分泌無月経の原因になる疾患を専門としていますので、女性ホルモンの数値をチェックして見ることもできます。

更年期障害かな?と思われる方は、自己評価することもできます。下記の簡易更年期指数(SMI)をチェックしてみてください。50点以上の場合には受診をおすすめします。

症状 症状の程度(点)
1.顔がほてる 10 6 3 0
2.汗をかきやすい 10 6 3 0
3.腰や手足が冷えやすい 14 9 5 0
4.息切れ、動悸がする 12 8 4 0
5.寝つきが悪い、または眠りが浅い 14 9 5 0
6.怒りやすく、すぐイライラする 12 8 4 0
7.くよくよしたり、憂うつになることがある 7 5 3 0
8.頭痛、めまい、吐き気がよくある 7 5 3 0
9.疲れやすい 7 4 2 0
10.肩こり、腰痛、手足の痛みがある 7 5 3 0

更年期障害とは

月経がなくなる閉経の年齢には個人差が見られます。日本人女性の平均としては50才頃です。一般に閉経後にくるものが更年期と思われているようですが、実際は閉経前後の約10年間を指します。この時期に、日常生活に支障をきたすほどのさまざまな不快症状が現れてきた場合を更年期障害と呼びます。その具体的な症状としては、顔や上半身のほてり、のぼせ、発汗などの血管運動性障害や、不眠や憂うつ、イライラなどの精神神経症状などのほか、肩こり、頭痛、腰痛、関節痛、手足のしびれなどと実に多岐にわたります。これらの症状が重なって現れる場合も多く、大変な苦痛をもたらすといえます。更年期障害はエストロゲンという女性ホルモンの卵巣からの分泌低下や停止に加え、ストレスを受けやすい性格や生活環境などといった精神的、環境的要因が原因となって、自律神経に変調をきたすことで起こります。症状の重さには個人差がありますが、それは体質などのほか、こうした精神的、環境的要因も関与しているからです。

女性ホルモン検査

50才未満の方で、更年期障害かどうか、確実な診断をするには女性ホルモンの検査を行うことがあります。

  1. エストラジオール(エストロゲン):卵巣から分泌される女性ホルモンで、卵巣機能や更年期・閉経の可能性などがわかります。
  2. LH(黄体形成ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン):LHが高い場合には月経の終わりが近いということで、FSHが高い場合には閉経が近づいていると考えられます。
  3. プロゲステロン(黄体ホルモン):排卵に伴って卵巣の黄体から分泌されます。これが十分に分泌されていない場合は、黄体機能不全であり、妊娠維持ができなくなっている状態です。

プラセンタ療法について

プラセンタ療法についてプラセンタは英語で胎盤のことです。胎児の成長に必要不可欠なもので、1個の受精卵をわずか10ヶ月程度で平均3kgにまで育て上げるための各種栄養素や生理活性物質が豊富に蓄えられています。プラセンタ療法の最大の特徴として「自然治癒力」の増大があり、身体の不調を慢性化させない自然薬として注目されています。薬理効果としては次のようなものがあります。
自律神経調節作用、基礎代謝向上作用、免疫賦活作用、抗疲労作用、抗アレルギー作用、血行促進作用、抗炎症作用、内分泌調整作用、活性酸素除去作用、体質改善作用など、幾多の有用な作用が確認されています。

安全性と副作用

肝炎やエイズなどの感染のない健康なヒトの胎盤のみを原料としています。またウイルスや細菌は高圧蒸気滅菌により不活化されます。
プラセンタは注射ですので、刺したところが痛かったり、腫れたり、ときに皮下血腫を生ずることがあります。

★プラセンタ療法は医療用注射薬として、更年期障害、乳汁分泌不全、肝炎、肝硬変の治療薬として健康保険の適用になっていますのでご相談下さい。適用年齢に明確な基準はありませんが、概ね45才〜59才の方を対象としています。

更年期障害の症状緩和を目的とした漢方治療

漢方治療漢方薬は一剤で多彩な症状に対応可能であり、憂うつ、不安、不眠などの精神神経症状や自律神経失調症状、冷えを中心とした血管運動神経症状はとくに漢方のよい適応になります。
使用される主な漢方薬には次のようなものがあります。
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、加味逍遥散(カミショウヨウサン)、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)をよく処方します。他には、柴胡桂枝乾姜湯、温清飲、女神散、温経湯、三黄瀉心湯などがあります。

年齢とともに訪れる女性特有の“ゆらぎ”に注目を集めている「エクオール」

エクエルエクオールは、女性ホルモンと似た働きをする成分で、40代以降の女性の身体と心の健康の鍵を握るとして更年期症状を和らげる効果が期待されています。エクオールは大豆のイソフラボンが腸内細菌の力でつくられるスーパーイソフラボンですが、大豆を摂取して腸内でエクオールをつくることができる人は日本人の約半分といわれています。そのため、エクオールを直接摂取していただこうと考えて作られたサプリメントが「エクエル」です。
また、エクオールを産生出来る方も安心してはいられません。エクオールは体内に蓄積されず、1〜2日でほぼ体外に排出されてしまいます。そのため、効果を得るには毎日たくさんの大豆を食べ続けなくてはなりません。さらに、腸内環境の変化によってつくれなくなってしまうこともあります。けっきょく、エクオールを産生できる方も、出来ない方も「エクオール」の継続的な摂取が効果的なのです。

ヘバーデン結節にもエクオールが有効

40代以上の女性で、手先の指関節が腫れてきて、曲がってしまう病気がヘバーデン結節です。腫れや痛みを放っておくと骨が変形して元に戻らなくなってしまうので、手の指に違和感を感じたころから治療しておいた方がよいと言われています。このヘバーデン結節が最近になって、女性ホルモンの分泌量の減少が発症にかかわっていることが分かってきました。なかでも、女性ホルモンに似た作用をもつ「エクオール」を体内で作ることができない人が発症しやすいと言われています。また、女性ホルモンは骨からカルシウムが溶け出すのを抑える効果もありますが、ホルモンの分泌量が少なくなっていくと年間で約2%もの骨量が減ってしまい、更年期を過ぎると骨粗しょう症にかかりやすくなります。しっかりとした骨を保つにもエクオールの摂取が有効です。

エクオールをつくれる?つくれない?

エクエルヒトの大腸にはさまざまな腸内細菌がいて、その中のエクオール産生菌が大豆イソフラボン(ダイゼイン)をエクオールに変換しています。この菌がどのくらい活動しているのかが重要になります。その度合いは、大豆の摂取量や食生活による腸内環境の違いが理由ではないかと考えられています。日本をはじめ、中国や韓国、台湾など大豆をたくさん食べる地域では欧米に比べてエクオールをつくれる人の割合が多くなっています。
さて、自分が腸内でエクオールをつくれるのかどうか、どうすればチェックできるかということですが、実は、自宅で簡単にチェックすることができるのです。簡易検査キット「ソイチェック」は尿検査で調べることができます。
(株式会社ヘルスケアシステムズから発売されています。)

当院では、大塚製薬の「エクエル EQUELLE」を取り扱っています。

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